付加価値税と二つの課税類型
付加価値税は物やサービスを売る時にかかる税金で、事業者は客から受け取った付加価値税から、自分が仕入れの時に払った付加価値税を差し引き、その差額を納めます。税率は10%です。韓国の個人事業者は事業者登録の際に、一般課税者と簡易課税者のどちらかに分類されます。簡易課税は、規模の小さい事業者の税額計算と申告の負担を減らすための制度です。基準は前年の供給対価、つまり付加価値税を含む売上の合計です。2024年7月1日以降の基準金額は1億400万ウォンで、これより少なければ簡易課税が適用されます。ただし不動産賃貸業と課税遊興施設は4,800万ウォンが基準です。新しく事業を始める時は予想売上を見て登録時に類型を選べ、その後は毎年前年の実績で改めて判定し、その年の7月1日から類型が変わります。変わる時は国税庁が事前に通知します。
税額計算の違い
一般課税者は、売上の10%である売上税額から、税金計算書やクレジットカード領収証などで証明された仕入税額を引いた額を納めます。仕入れが売上より多ければ、差額の還付を受けることもできます。簡易課税者は計算が違います。供給対価に業種別の付加価値率を掛け、さらに10%を掛けた額から、税金計算書などを受け取った仕入額(供給対価)の0.5%を差し引きます。業種別の付加価値率は15%から40%の間で定められ、たとえば小売業や飲食店業は低い側、不動産賃貸業や専門サービス業は高い側に属します。結果として簡易課税者の実際の負担は売上の数%程度と低めです。その代わり簡易課税者は、仕入税額がいくら多くても還付を受けられません。業種別の正確な比率は付加価値税法施行令と国税庁の案内で確認してください。
- 一般課税:売上税額(10%)-仕入税額、還付あり
- 簡易課税:供給対価 × 業種別付加価値率 × 10% - 仕入額の0.5%
- 付加価値率の範囲:15%~40%
- 簡易課税者は還付を受けられない
納付免除、税金計算書、申告時期
簡易課税者のうち、その課税期間の供給対価が4,800万ウォン未満なら付加価値税の納付義務が免除されます。ただし申告はしなければならず、申告しないと不利益が生じることがあります。税金計算書の発行も大きく違います。一般課税者は事業者の客に税金計算書を発行する必要があります。簡易課税者のうち前年の供給対価が4,800万ウォン以上の事業者も発行義務があり、4,800万ウォン未満か新規の簡易課税者は、税金計算書の代わりに領収証を発行します。申告時期は、個人の一般課税者が一年を二期に分けて7月と翌年1月に確定申告をし、その間の4月と10月には税務署が告知した予定税額を納めます。簡易課税者は1月から12月までの一年分を翌年1月に一回申告し、7月に予定の賦課があり得ます。税金計算書を発行した簡易課税者は、上半期分を7月に予定申告する必要があります。
- 簡易課税者の供給対価4,800万ウォン未満:納付免除(申告は必須)
- 前年4,800万ウォン以上の簡易課税者:税金計算書の発行義務
- 個人の一般課税者:7月・1月に確定申告、4月・10月に予定告知
- 簡易課税者:翌年1月に年1回申告、7月に予定賦課
例で計算してみる
以下は仕組みを示すための仮定です。小さな飲食店の一年の売上が付加価値税込みで6,000万ウォン、税金計算書などを受け取った食材・消耗品の仕入れが付加価値税込みで3,000万ウォンだとします。簡易課税者なら飲食店業の付加価値率15%を適用して6,000万ウォン × 15% × 10% = 90万ウォンを計算し、仕入額の0.5%である15万ウォンを引いて約75万ウォンを納めます。同じ店が一般課税者なら、売上税額は6,000万ウォンに含まれる付加価値税の約545万ウォン、仕入税額は3,000万ウォンに含まれる約273万ウォンなので、差額の約272万ウォンを納めます。差がかなり大きいことが分かります。実際にはクレジットカード売上に対する税額控除や、飲食店の農産物などのみなし仕入税額控除といった項目が加わって結果が変わるので、この計算は二つの方式の仕組みを比べる目的にとどめてください。
簡易課税が使えない場合と放棄の届出
売上が基準より少なくても、簡易課税を適用されない業種や場合があります。鉱業、製造業(最終消費者を相手にする菓子店・餅屋など一部を除く)、卸売業、不動産売買業、弁護士・税理士・会計士・建築士のような専門職の事業サービスが代表的です。一定の地域と規模を超える不動産賃貸業や課税遊興施設、すでに一般課税の事業所を持つ人が新たに出した事業所も原則として除外されます。反対に簡易課税の対象でも、あえて一般課税者になる道があり、これを簡易課税の放棄の届出といいます。適用を受けたい月の前月末日までに届け出て、放棄すると原則として一定期間(3年)は簡易課税に戻れません。ただし2024年7月以降は、放棄した時の供給対価が4,800万ウォン未満だった事業者が、その後基準金額の範囲内で売上が増えた場合、3年が過ぎる前でも簡易課税の再適用を申請できる例外ができました。取引先が税金計算書を求める場合や、開業時の内装・設備投資が大きく還付が必要な場合に検討する選択肢です。
- 鉱業、製造業(一部除く)、卸売業、不動産売買業
- 専門職の事業サービス(弁護士・税理士・会計士など)
- 一定基準を超える不動産賃貸業・課税遊興施設
- すでに一般課税の事業所を持つ人の新しい事業所
よくある誤解
簡易課税をめぐる誤解の多くは「簡易の方が必ず有利だ」という考えから始まります。税負担だけを見れば簡易課税の方が低いことが多いですが、還付を受けられず税金計算書の発行にも制限があるため、事業者の客と取引する業種には不利になり得ます。また納付が免除なら申告もしなくてよいと考えがちですが、申告は必要です。売上が基準を超えても簡易課税がそのまま続くと思う人もいますが、前年の実績によって自動で切り替わります。逆に一般課税者の売上が基準を下回れば簡易課税者に変わることがあり、その場合も通知を確認し、必要なら放棄の届出をするか判断します。よく見かける誤解は次のとおりです。
- 「簡易課税は必ず有利」— 還付不可と税金計算書の制限を考える
- 「納付免除なら申告も免除」— 申告は必要
- 「一度簡易なら、ずっと簡易」— 前年の売上で毎年判定し直す
- 「放棄してもすぐ戻せる」— 原則として一定期間は戻れない
類型を選ぶ前の点検手順
次の順で見ていくと、自分の事業に合う類型を判断しやすくなります。まず業種が簡易課税の除外対象かを確認します。除外対象なら選択の余地はありません。次に初年度の予想売上が基準金額を超えそうかを見積もります。その後、主な客が一般の消費者か事業者かを見ます。事業者の客が多く税金計算書を求められるなら、一般課税の方が取引に有利なことがあります。続いて開業初期の内装・設備・在庫の仕入規模を考えます。仕入税額が大きければ、一般課税者として還付を受ける方がよい場合があります。最後に申告時期と帳簿管理の負担に対応できるかを見て決めます。判断が難しければ、管轄の税務署や税理士に相談してください。
- 業種が簡易課税の除外対象か確認
- 初年度の予想売上と基準金額を比較
- 主な客が消費者か事業者か確認
- 初期投資と仕入税額の規模を確認
- 申告時期と帳簿管理の負担を検討
よくある状況1:一般課税者への転換通知を受けた
簡易課税者の前年の供給対価が基準金額以上になると、その年の7月1日から一般課税者に変わり、国税庁が事前に通知します。転換されると準備することがいくつかあります。まず事業者の客に税金計算書を正しく発行できるよう、ホームタックス(国税庁のオンライン窓口)での電子税金計算書の発行方法を覚えておきます。カード端末や売上管理ソフトの課税類型の設定も変える必要があるかもしれません。転換時点で持っていた在庫品や減価償却の対象資産は、申告を通じて仕入税額の一部の控除を受ける在庫仕入税額控除が可能なので、一覧にしておきます。また一般課税者は年に二回確定申告をするので、申告の日程が変わります。価格設定も見直しましょう。同じ売上でも税負担が大きくなるため、付加価値税を考慮した価格になっているか点検するとよいでしょう。
よくある状況2:初めて事業者登録をする
初めて事業者登録をする時はホームタックスか税務署で申請し、その際に課税類型を選びます。業種が除外対象ではなく予想売上が基準金額より少なければ、簡易課税を選べます。ネット販売のように一般消費者を相手に小さく始める事業は、簡易課税の方が負担が軽いことが多いです。一方、企業と取引する役務業や、開業初期に大きな設備投資が必要な事業は一般課税の方がよい場合があります。どちらを選んでも、事業用の口座とカードを分けて使い、仕入れの証拠を丁寧に集めておく習慣が大切です。簡易課税者も仕入額の0.5%の控除を受けるには、税金計算書やカード領収証などの証拠が必要です。付加価値税とは別に、所得については翌年5月に総合所得税の申告をする必要があり、これは同じテーマの別記事で扱います。
限界と注意事項
この記事は韓国の個人事業者の簡易課税と一般課税、付加価値税申告の一般的な仕組みを説明したものです。簡易課税の基準金額、納付免除の基準、業種別付加価値率、除外業種、申告日程は法令改正によって変わり得ます。本文の計算例は仕組みを示すための仮定で、実際の税額とは異なることがあります。実際に判断する前には、国税庁ホームタックスの付加価値税の案内、国税庁の国税相談センター、法制処の国家法令情報センターの付加価値税法と施行令の原文を確認してください。事業規模が大きかったり業種が複雑だったりするなら、税理士に相談するのが安全です。この記事は税務助言ではなく、判断に必要な基準をまとめた一般情報です。事業者を狙って税務署や国税庁をかたりリンクへの接続を促す連絡もあるので、告知や案内はホームタックスで直接確認してください。
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